結婚式
中学の同級生と飲んだ。
鬱憤を晴らすかのごとく怒涛に喋り倒した。
麦酒を絶え間無く飲みつくした。
麦酒と鬱憤を血肉と音に替えて。
そんな結婚式の二次会。最高に楽しい1日だった。
結婚おめでとう。
名前も知らない甘いカクテルのせいで二日酔いだ。
風化
壺。
なんでも受け入れる壺。
大らかで、優しくて、広くて、頑丈。
けれどその頑丈さを支えるのは、中に溜まった毒。致死性のもの。0.00001mlで100人は殺せる猛毒。
壺は復讐の機会を虎視眈々と待つ。
そのために感情を殺す。
幽霊船
幽霊船みたいな船が、海を見ている僕を横切る。
見渡す限り工業地帯のこの海に、一際大きな音を立てながら海を進む。その様は自らの存在を殊更強調しているようでなんだか恥ずかしい。
「そんなに大声を出さなくても、僕は君を見つけたよ」なんて歯の浮くようなセリフを思い浮かべて、僕は慌てて思考の舵を切る。
正しくは「僕も、お前と一緒だよ」だ。
僕はいま、神戸にいる。
秋の夜長
台風が過ぎ去ってまだ数日の沖縄にいる。
友達に囲まれて、少し冷たい水と麦酒。
暖かい気候で静かな夜。
大浴場の誘いを断って1人風呂。
酒の誘いを断って秋の夜長の読書。
誰かと絶えず繋がっていることがこんなにも苦痛だとは。
1人の時間がこんなにも幸せだとは。
自分のことでも知らないことは沢山ある。